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◆ 2009年9月 4日

シリーズ「森」|第4回

森は蘇る〜永遠の森へ

1986年、ニコルは決意した。嘆き悲しむだけではなく、自分ができるところから行動しようと。

長野県信濃町にある荒廃した「幽霊森」を少しずつ買い始めた。そして、地域の森を知り尽くしている"森の達人"、松木信義氏に協力をお願いして、手入れを始めた。

人さえも立ち入ることができない、暗く窒息状態に陥っていた森の藪を刈り、風を通し、再び陽光が地面を射すようになった翌春、土の中に眠っていたドングリたちが、一斉に芽を出した。日差しを待ちわびていた植物たちは、あちこちで様々な花を咲かせ、その一つひとつの花を目当てに、チョウやハチが森に戻ってきた。ニコルは、遠い故郷の森から名前をもらい、この森を「アファンの森」と名付けた。こつこつと土地を買い、手入れを続けた。

人の手によって荒廃した森は、人が手をかけて再生しなければ、本来の森には戻らない。

ニコルが目指した森は、かつてのように人の暮らしと共存する、生物多様性に富む健やかな日本の森である。森の生態系をとり戻すこと。松木とニコルの愛情と情熱が注がれた森には、やがて彼らの思いに応えるかのように、多くの生きものたちが戻ってきた。

2002年、アファンの森を永遠の森にするため、それまでニコル個人の所有だったアファンの森を、興したばかりの財団法人へ寄付した。かくして、アファンの森は、"C.W.ニコル・アファンの森財団の森"となった。財団は、設立当初から株式会社リコーをはじめ、多くの企業や個人の方々のご支援、ご賛同をいただき、また森は年々広がり続けた。

2008年、アファンの森では、地域的に絶滅が危惧されている植物が3種、鳥類が10種確認された。ここに棲むすべての生きものは、森にとってなくてはならない存在だ。この命の環で結ばれている豊かな森は、私たち人間も一人ひとり、がかけがえのない存在であることを教えてくれる。


日本の森を蘇らせるプロジェクト:C.W.ニコル・アファンの森財団の取り組み
nicole.jpg 「日本の森を再び生物の多様性溢れる豊かな森に戻したい」1970年代以来、原生林の伐採や里山の放棄により、そこに暮らしていた多くの動植物たちが生きられなくなっている日本の森。C.W.ニコル氏は、20年前から長野県にある荒廃した森を少しずつ買い取り、「アファンの森」と名付けて森の再生活動を行っている。今では様々な生物が暮らせる森になりつつある。この小さな森の再生が日本中の森を蘇らせる一歩となることを願い、2002年に財団法人を設立。1種でも多くの生物と1人でも多くの子供たちの笑顔のために、森づくりを進めている。 財団法人 C.W.ニコル・アファンの森財団:長野県上水内郡信濃町大井 43-2 TEL. 026-254-0801オフィシャルサイト

野口理佐子さん野口理佐子
人と自然の研究所/有限会社カルティベイトカンパニー 代表取締役
財団法人 C.W.ニコル・アファンの森財団理事
1994年、環境で食べていくことをモットーに有限会社カルティベイトカンパニーを設立。環境プランニング、コーディネート業務を行う。その後、人と自然のつながりをテーマに、生態系の正しい知識を普及する市民シンクタンク「人と自然の研究所」を設立し、「ビオトープ管理者養成通信講座」を開講。現在、全国各地で約4,500名以上が受講している。日本の森の再生活動を実践する財団法人 C.W.ニコル・アファンの森財団の設立など、あらゆる生物とともに暮らせる地域づくりを目指し、ビオトープ再生を実践中。

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多様性コラム
46億年前に地球というこの青い惑星ができてから約10億年の時を経て、もっとも単純な生命(単細胞生物)が誕生しました。そしてそこから35億年の歳月をかけ、生命が成し遂げてきたことは、ひたすら種のバリエーションを広げ、多様化することでした。
地球には、陸海空に様々な生態系があります。そしてそこには私たち人類を含め、推定3,000万種以上(~3億種という説も)の多様な生命が互いに関係し合い、絶妙なバランスの中で生きています。「多様性」こそは、生命の本質なのです。

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