◆ 2010年3月 3日
欧州紀行 009 『きまぐれ過ぎる天気』

昨年、ベルギーからイギリス(ロンドン)に異動して早半年。今日も外は曇っている。というわけで、今回は「欧州紀行」ならぬ「欧州気候」をテーマに採り上げてみたい。
私の勝手な持論だが、人間も光合成をしているのでは?と思うほど、太陽光を浴びると元気が出る。反対に、天気が曇りや雨ばかりだと、やる気も気力も湿り気味である。単なる気分の問題と言われればそれまでだが。
ベルギーにいた頃の話だが、夏場の陽が長い時期、家のベランダから見える公園には、夜8時を過ぎると子どもを連れてきては遊ばせている親たちがいた。いくら陽が長くまだまだ明るいとはいえ、なにもこんな時間に子どもを公園に連れてこなくても!?と、至って日本人的な発想で憤ったことがあった。ベルギーには非常識な親が多い!声を荒げる私に、現地の友人曰く。子どもの成長期にはできる限り日光を浴びさせなければいけない。けれど、夏の陽射しは紫外線が怖い。そこで、紫外線が比較的少なくなる夜に出てくるのさ、とのこと。
そんなことは初耳だぞ?と、ちょっと疑いながらネットで調べてみた。現代人にはビタミンDが不足している。ビタミンDは人間が体内で自然生成できないビタミンで、その生成には太陽光が不可欠。また、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するため、特に骨の成長が著しい子どもたちにとって、日光浴はなによりも重要!なのだとか。
なるほど光合成とは少々(だいぶ?)違うが、やはり太陽光は重要なのだという点については納得できた。
そのベルギーにいた頃も、日本と比べて「なんて天気が移ろいやすい国だろう」と思っていたが、ここイギリスの天気の変わりやすさといったらベルギーの比ではない。朝、小雨が降って肌寒かったのがウソのように、昼からの快晴で上着を着ていられぬほどの日差しにじっとりと汗ばみ、夕方はまたたく間に暗雲がたちこめ、横殴りの雨と強風に煽られたかと思うと、夜空はスッキリと冴え渡る満天の星空... といった調子である。
イギリスに来てからというもの、季節の感覚が完全におかしくなってしまった反面、「イギリスでは1日のうちに四季がある」とも言われているそうで、「なるほど」とは思うものの、まったく迷惑な話である。
ちなみに、こちらの天気予報に"降水確率"などというものは、ない。雨はほとんど毎日どこかのタイミングで降っているので、まあ必要ないということなのだろう。
そんなきまぐれな天候に備えて、私は折り畳み傘をかばんの中に常備しているが、これだけ雨が降るというのにイギリスで売られている折り畳み傘ときたら、なにやら無骨でデザインも機能もイマイチなものばかり(ベルギーもそうだったが)。イギリス人はあまり傘をささないので、手間と暇をかけて売るお洒落アイテムにはならないようである。
確かに皆、ちょっとやそっとの雨では傘をささない。雨に濡れても気にする素振りも見せず、ちょっと雨足が強まっても、せいぜいフードをかぶるくらいなもの。まあ基本的に欧州は空気が乾燥しているし雨足も弱いので、傘をささなくても済むからだろうくらいに考えていた。ところが、イギリスでは別の事情もあるらしい。
なにしろ天気がコロコロ変わるので、折り畳み傘の差したり畳んだりが面倒!という物理的な事情に加え、男が小物を携帯するのは"なよってる"と見られるらしく、男性が折り畳み傘を持っていると「カマっぽい!」と揶揄されてしまうという心理的な事情もあるらしい。そういう国民性を反映しているのか(?)、街で売られている紳士用の傘は、あたかもゴルフ傘のように大きく重いものばかり。重たい傘は持ちたくないし、オカマと評されるのも御免だ。ええいそれなら濡れてしまえ!というのが当地のお国柄らしい。英国紳士も大変だ。
郷に入れば郷に従えとは言うけれど、せっかくあるのだから、雨が降ったらやはり気兼ねなく傘をさしたいものである。
ところで。昨年2009年12月半ばから、欧州全体に大きな寒波が到来し、こちらは極度に寒い冬を経験している。イギリスは緯度的には北海道よりも北に位置しているが、暖流の関係でそんなに雪も降らないし、真冬でもそれほど気温が下がることはない。けれど約30年ぶりの大寒波到来で、年末年始にかけイギリスでは大雪のために交通が麻痺し、数千の学校が休校になった。ポーランドでは数百人もの死者まで出たらしい。
「地球温暖化っていうけど、ちっとも温暖化してないじゃん!?」などという人も出てくる始末(← 私の知人ですが...)。
専門家によれば、この寒波は"北極振動"の影響の可能性もあるとのこと。ごく簡単にいえば、地球全体の温暖化により、北極圏に蓄積されていた寒気が一気に放出されている!らしいのである。温暖化は着々と進行しており、それは様々な異常気象となって地球の気候を狂わせている。単純に「温暖化=暑くなる」わけではないのだ。
つい最近、TVで「 The Day after Tomorrow」という映画を見た。これも地球温暖化によって熱塩循環※1が停止し、北半球が凍りつくというストーリーである。フィクションとはいえ、見ていると劇中の気候変動が早過ぎる気がした。だがイギリスに着任して以来、猫の目のように変わる当地の天候を日夜体感するに及び、あながち「単なる虚構だろ」と一言で片付けるわけにはいかないかも?という気がしてきている今日この頃である。
※1:熱演循環 ▶ ウィキペディアの解説ページへ
羽田野洋充
リコーヨーロッパ CSR(環境マネジメント)担当
イギリスの首都ロンドンを拠点に、EU製品環境規制についての情報収集及びロビー活動に従事。
2006年より家族4人でベルギーに駐在していたが、2009年よりイギリスに異動。
私の勝手な持論だが、人間も光合成をしているのでは?と思うほど、太陽光を浴びると元気が出る。反対に、天気が曇りや雨ばかりだと、やる気も気力も湿り気味である。単なる気分の問題と言われればそれまでだが。
ベルギーにいた頃の話だが、夏場の陽が長い時期、家のベランダから見える公園には、夜8時を過ぎると子どもを連れてきては遊ばせている親たちがいた。いくら陽が長くまだまだ明るいとはいえ、なにもこんな時間に子どもを公園に連れてこなくても!?と、至って日本人的な発想で憤ったことがあった。ベルギーには非常識な親が多い!声を荒げる私に、現地の友人曰く。子どもの成長期にはできる限り日光を浴びさせなければいけない。けれど、夏の陽射しは紫外線が怖い。そこで、紫外線が比較的少なくなる夜に出てくるのさ、とのこと。
そんなことは初耳だぞ?と、ちょっと疑いながらネットで調べてみた。現代人にはビタミンDが不足している。ビタミンDは人間が体内で自然生成できないビタミンで、その生成には太陽光が不可欠。また、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するため、特に骨の成長が著しい子どもたちにとって、日光浴はなによりも重要!なのだとか。
なるほど光合成とは少々(だいぶ?)違うが、やはり太陽光は重要なのだという点については納得できた。
そのベルギーにいた頃も、日本と比べて「なんて天気が移ろいやすい国だろう」と思っていたが、ここイギリスの天気の変わりやすさといったらベルギーの比ではない。朝、小雨が降って肌寒かったのがウソのように、昼からの快晴で上着を着ていられぬほどの日差しにじっとりと汗ばみ、夕方はまたたく間に暗雲がたちこめ、横殴りの雨と強風に煽られたかと思うと、夜空はスッキリと冴え渡る満天の星空... といった調子である。
イギリスに来てからというもの、季節の感覚が完全におかしくなってしまった反面、「イギリスでは1日のうちに四季がある」とも言われているそうで、「なるほど」とは思うものの、まったく迷惑な話である。
ちなみに、こちらの天気予報に"降水確率"などというものは、ない。雨はほとんど毎日どこかのタイミングで降っているので、まあ必要ないということなのだろう。
そんなきまぐれな天候に備えて、私は折り畳み傘をかばんの中に常備しているが、これだけ雨が降るというのにイギリスで売られている折り畳み傘ときたら、なにやら無骨でデザインも機能もイマイチなものばかり(ベルギーもそうだったが)。イギリス人はあまり傘をささないので、手間と暇をかけて売るお洒落アイテムにはならないようである。
確かに皆、ちょっとやそっとの雨では傘をささない。雨に濡れても気にする素振りも見せず、ちょっと雨足が強まっても、せいぜいフードをかぶるくらいなもの。まあ基本的に欧州は空気が乾燥しているし雨足も弱いので、傘をささなくても済むからだろうくらいに考えていた。ところが、イギリスでは別の事情もあるらしい。
なにしろ天気がコロコロ変わるので、折り畳み傘の差したり畳んだりが面倒!という物理的な事情に加え、男が小物を携帯するのは"なよってる"と見られるらしく、男性が折り畳み傘を持っていると「カマっぽい!」と揶揄されてしまうという心理的な事情もあるらしい。そういう国民性を反映しているのか(?)、街で売られている紳士用の傘は、あたかもゴルフ傘のように大きく重いものばかり。重たい傘は持ちたくないし、オカマと評されるのも御免だ。ええいそれなら濡れてしまえ!というのが当地のお国柄らしい。英国紳士も大変だ。
郷に入れば郷に従えとは言うけれど、せっかくあるのだから、雨が降ったらやはり気兼ねなく傘をさしたいものである。
ところで。昨年2009年12月半ばから、欧州全体に大きな寒波が到来し、こちらは極度に寒い冬を経験している。イギリスは緯度的には北海道よりも北に位置しているが、暖流の関係でそんなに雪も降らないし、真冬でもそれほど気温が下がることはない。けれど約30年ぶりの大寒波到来で、年末年始にかけイギリスでは大雪のために交通が麻痺し、数千の学校が休校になった。ポーランドでは数百人もの死者まで出たらしい。
「地球温暖化っていうけど、ちっとも温暖化してないじゃん!?」などという人も出てくる始末(← 私の知人ですが...)。
専門家によれば、この寒波は"北極振動"の影響の可能性もあるとのこと。ごく簡単にいえば、地球全体の温暖化により、北極圏に蓄積されていた寒気が一気に放出されている!らしいのである。温暖化は着々と進行しており、それは様々な異常気象となって地球の気候を狂わせている。単純に「温暖化=暑くなる」わけではないのだ。
つい最近、TVで「 The Day after Tomorrow」という映画を見た。これも地球温暖化によって熱塩循環※1が停止し、北半球が凍りつくというストーリーである。フィクションとはいえ、見ていると劇中の気候変動が早過ぎる気がした。だがイギリスに着任して以来、猫の目のように変わる当地の天候を日夜体感するに及び、あながち「単なる虚構だろ」と一言で片付けるわけにはいかないかも?という気がしてきている今日この頃である。
※1:熱演循環 ▶ ウィキペディアの解説ページへ
羽田野洋充リコーヨーロッパ CSR(環境マネジメント)担当
イギリスの首都ロンドンを拠点に、EU製品環境規制についての情報収集及びロビー活動に従事。
2006年より家族4人でベルギーに駐在していたが、2009年よりイギリスに異動。
